MOONSHOT

KNOWLEDGE

中学生のスイング速度、平均102km/h。その数字より大事な見方

CATEGORY
年代別
DATE
READ
5
EVIDENCE
国内の測定研究(2018・2024)/メーカーによる大会計測/海外の目安(条件が異なる)

スイングスピードや打球速度を測れる機会が増えました。測ったあと、多くの親御さんがネットで「中学生 平均」を検索します。

そこに出てくる数字の多くは、出典も測定条件も書かれていません。

この記事では、日本で公開されている測定データそのものを示し、その数字をどう使い、どう使わないかを整理します。

野球科学研究2018に、アマチュア994名とプロ46名を同じ方法で測った研究があります(蔭山ほか)。センサー(Mizuno Swing Tracer)をつけ、年代ごとに統一したバットで、トスを最大努力で打ったときの最大スイング速度です。

年代平均年齢使用バット最大スイング速度(平均)
小学校低学年8.7歳78cm・480g81.7 km/h
小学校高学年11.3歳84cm・680g92.0 km/h
中学生13.7歳84cm・800g102.0 km/h
高校生16.8歳84cm・900g(木製)115.5 km/h
大学生20.3歳84cm・900g(木製)123.4 km/h
プロ25.2歳自身のバット134.1 km/h

各年代のばらつき(標準偏差)は10km/h前後です。中学生なら、おおむね90〜114km/hに3分の2の選手が入ります。

もう一つ、全国大会レベルの数字があります。2023年の全日本中学野球選手権ジャイアンツカップで、ミズノが96名を Blast センサーで測ったところ、平均107km/h、上位は124.7km/hでした(統一バット83cm・800g)。

全国大会に出る選手で平均107km/h。ネットで見かける「中学生は110〜125km/h」という目安は、全国上位の数字です。

理由は3つあります。

  1. 出典がない目安が、目安を引用して増える。 高い方の数字が「強打者」の欄に載り、それが平均のように読まれます。
  2. 測定条件が違う。 ティー打撃の最大値か、試合中の平均かで5〜10mph(8〜16km/h)変わります。海外の表(Blast Motion、Bat Digest など)は米国のマイル表示・硬式・ティーの最大値が多く、日本の軟式中学生にそのまま当てはまりません。
  3. 機器が違う。 Blast(グリップ装着)、Swing Tracer(ヘッド)、MLBのStatcast(バットの芯・試合中)は測る場所も条件も違い、同じ尺度ではありません。

MLBの平均バット速度は約72mph(116km/h)ですが、これは試合中の値です。「高校生がティーで120km/h=MLB平均」という比較は成り立ちません。

打球速度はスイング速度より測るハードルが高く、日本の中学生の年代別の一次データは、今回の調査で見つかっていません。海外のティー最大値の目安(13〜14歳で60〜75mph=97〜121km/h、Bat Digest)はありますが、硬式・USA規格バット・ティーの条件です。

MOONSHOTでは、打球速度は機器がある選手だけ、機器名・設定・条件を記録して比較します。スマートフォンの動画だけで「打球速度が上がった」とは言いません。

(1)暦年齢ではなく、成熟度で見る

中学生は身長の伸びが最も速い時期(男子の平均は13.4〜14.2歳)で、個人差は2〜3年あります。同じ「中2」でも、体は小6相当から高1相当まで幅があります。

研究でも、小学生のスイング速度は身長と、中学以降は体重(筋量)と相関します。同学年の平均と比べて一喜一憂するより、本人の成長曲線の上で見るのが正確です。

(2)伸び幅の目安を知る

米国 Driveline のユースデータでは、バット速度は9〜16歳で年におよそ2.5mph(4km/h)、最大打球速度は年3〜6mph伸びています。日本の研究でも、小学高学年→中学で約10km/h、中学→高校で約13km/h伸びます。

「今102km/h」より「半年で何km/h伸びたか」が、練習が効いているかの指標になります。

(3)同じ条件で、本人の過去と比べる

機器、バット、球、ティーかトスか、球速、撮影位置を固定して、10球程度を記録します。最大値だけでなく、10球の分布と空振り・ファウルも残します。

最大値だけを追うと、芯を外した速いスイングが増えることがあります。

「同年代の全国平均」を、十分な母数なしに名乗ることはしません。評価は、公開されている研究データを参考値として示したうえで、本人の過去との比較を基本にします。

スイング速度が平均以上でも打球が弱い選手、平均以下でも打球が強い選手がいます。速さ、芯、軌道、タイミング、判断のどこで止まっているかは、数字一つでは分かりません。原因が違えば、必要な練習も違います。

本記事の数値は第三者の研究・計測データであり、当塾の指導実績ではありません。研究の対象年代・条件は本文と出典に記載しています。

FREE DIAGNOSIS — 12 STRUCTURE CHECKS

ホームランポテンシャル診断は、始動・回転の順番・前脚・軸足・頭・加速のピーク・通り道・芯など、スイングの構造12項目を親子でチェックして、どこを伸ばせば長打が増えるかを1つに絞ります。無料・約3分。

診断は回答から伸ばしどころを絞るもの。確定は体験レッスンで動画1本を見て行います。